ただただ、歌声は空気を振るわせる道具で、映像は変わることなくハーヴィーの瞳に反射した。

命がここにある証明が空に必要だろうか。

大地は少女の重みを感じているだろうか。

ハーヴィーはちからの限り歌った。

白い息が彼女の唇から歌声と同時に生まれ、やがて歌声と身をはがしながら大気に霧散していった。

ハーヴィーはターンした。

世界はまだ、確かにここにあった。



    おわり