死んだように生きる意味を誰が分かるだろう?
心が死んだまま生きるほど、苦しいものはない。
人は言う。
それは自分次第だと。
安易に言う。
安直に言う。
けれど、そんな言葉ではすまないのだ。
彼女は死んだ。
それは抗うことすら許されなかった無慈悲な出来事だった。
なぜ、彼女でなければならなかったのか?
彼女でなくても良かったはずなのだ。
生きていることが苦しいことだと知ったのは、彼女が病に倒れてからのことだった。
心が潰れる。
心が枯れる。
心が萎れ、心が朽ちる。
心が……死ぬ。
その音を、その感覚をいったいどれだけの人が知っているのだろう?
「過去は過去なんだよ、禅ちゃん」
拓実はいつからだろう。
オレにこんなことを言うようになった。
彼女を愛していないわけがないはずなのに、どうしてこれほどドライな物の言い方になるのだろう?
それともオレが……縛られ過ぎているのだろうか?



