「さっきは……すまなかった」
それだけしか言えなかった。
絵を欲しいと言った彼女。
その答えを言うべきなのかとも思ったけれど、それは言えなかった。
「瀬戸せんせさえ良かったら」
彼女の言葉に、どくん、どくんと胸が鳴る。
「お話、聞きに来てもいいですか?」
何の話かは聞かなかった。
彼女も何の話を聞きたいのかは言わなかった。
アキじゃない。
それでもオレは彼女のことがもう少し知りたい。
「またおいで」
そう答えたオレに
杉谷は本当にまばゆい笑顔を乗せて見せた。
「はいっ!!」
弾ける笑顔。
弾ける声。
キミに触れる。
キミの心に触れる。
あの世界に一歩近づく。



