「せんせは美術部の顧問をするんですよね?」
そういう女生徒にオレは首を傾げて見せた。
「市川先生の代わりだから……そうなるな」
その瞬間、女生徒は目を見開きキラキラさせて「じゃ、同好会の方も継続ですよね?」と言った。
「同好会?」
「はい!! フラワーアレンジメント同好会ですっ!!」
オレは杉谷を見た。
杉谷は俯いたまま、オレを見ようとはしなかった。
「オレは花は詳しくないんだが……」
答えるオレに女生徒は大きく手を振って見せ「いいんです」と言った。
「市川先生もそうでしたから。
先生にはただ顧問でいてもらえればいいんです。
一カ月に一度の同好会なんで、そのとき顔を出してもらえればそれでぜーんぜんOKなんですー」
「そうなのか、杉谷?」
女生徒ではなく、あえて杉谷に声を掛ける。
彼女は驚いたように瞬時に頭を上げて、真っ赤な顔でオレを見つめていた。



