いつも傍にいて
ただ黙ってオレの隣にいてくれる愛美。
「ごめんな」
オレの一言に愛美がグッと唾を飲み込んだのが分かった。
「私は……傍にいるから。
辛くなったら引き返して」
そう言うと、彼女はくるりと背を向けて、自分の席に戻っていった。
そのとき、ガラリと勢いよく職員室の扉が開いた。
振り返ってみると、そこに二人の女性との姿があった。
一人は確か、廊下をすごい勢いで走っていた子だ。
注意しそびれたから……なんとなく覚えていた。
そして、もう一人。
二人がツカツカとオレの方にやってきた。
廊下を走っていた子に無理やり手を引っ張られるようにやってきたのは杉谷樹里だった。
願ってもいない相手に、オレの胸がどきんと跳ねあがる。
「瀬戸せんせ」
杉谷の手を引いていた女生徒が、オレの顔を覗き込みそう呼んだ。



