オレはあまりの突然の出来事に戸惑っていた。
胸が鳴る。
大きく鳴り響く。
伸ばしたくなる手。
その衝動。
「えっと……すみません。
その……ごめんなさい!!」
ぺこりと勢いよく彼女は頭を下げた。
「あの……今の忘れてください!!」
顔を真っ赤にした彼女が足元を見つめたままそう言った。
それからくるりと背を向けて走り出そうとする。
「待って!!」
気がついたら彼女の手を捕まえていた。
「空……だよね?」
真っすぐな彼女の瞳。
黒の濃い光る瞳の中に映り込むオレは今、どんな顔をしてる?
「キミは……好き?」
オレの質問に彼女は一瞬眉間にしわを刻んだけれど、すぐにこくりと頷いた。
「青い空が……今日みたいな青い空が大好きです」
ああ、やっぱりと……もう一人のオレが大きく頷く。



