ぼんやりと空を見上げるその視界の端に
オレはまた一人の少女を見つけ
そこで視線がぱたりと止まった。
「あそこは……」
美術準備室。
そこに彼女にそっくりな後姿を見つけた。
揺れる黒髪は腰まで長く
毛先だけがすこしクセがかってまるくはねている。
オレはその髪を弄るのが好きだった。
その後姿にまたチクリとした痛みが走った。
思い出が鮮明すぎる。
思い出が痛みを連れてくる。
立ち去っていく彼女の影を
オレの瞳はまっすぐに追っていた。
ゆっくりと立ちあがる。
とりあえず、彼女に謝罪をしようと思った。
きっと嫌な思いをさせたに違いない。
訳の分からない男に触れられたら
誰だって気持ちいいものじゃないだろう。
きちんと名乗ってもいない。
彼女を追おう。



