耳を塞ぎたかった。
そう叫ぶキミを助けたかった。
けれど出来たことは何もなく
抱き締めることも
大丈夫だと慰めることも
一緒に泣くことも
何一つ出来なかった。
オレに出来たのは傍にいるだけ
傍でただ見守ることだけだった。
そうやってオレに縋りつくたびに
彼女は心をすり減らしていた。
痛んだのはきっと身体よりも心だった。
分かっていながら何も出来なくて
無力な自分を
非力な自分を
毎日毎日呪って罵って
モノにあたり
人にあたり
周りまでも不幸にした過去のオレ達。
どうしてオレ達だったのか?
今でもその想いだけはこの胸に深く深く根付いている。



