灰色の空にうっすらと色がつき
それは薄い
本当に薄い灰色に近いけれど違う
水色になろうとしていた。
ぼんやりと見上げた空は手を伸ばしても届くはずがないのに
オレの求めたものはすぐそこに手を伸ばせば届くところに
確かにあったということが
重く重く心にのしかかっていた。
彼女は……誰だろう?
遠い空に思い浮かべたのは
さきほどぶつかった彼女だった。
愛しい人と似た彼女。
ここの生徒であることはもう間違いない。
その彼女とこれから毎日顔を合わせることになるかと思うと
悲しみと淋しさと喜びと嬉しさが
ぐちゃぐちゃに混ぜ合わさって
結局黒い色になりかわる。
「まいったよ、アキ……」
キミに似ている彼女と
オレはこれからどんな顔をして会えばいいんだろう?
教師という立場なのだから
勿論差別とかひいきとか
そういうことは絶対に出来ない。



