美術準備室に駆けこんで
テーブルの上に急いで用紙を置いた。
震える心に甦るのは
彼女の呼び声だった。
『ゼン』
『ゼン?』
『ゼン!!』
「違う!!」
アキじゃない。
「違うんだ!!」
彼女じゃない。
「もう……いないんだ」
喜びが首をもたげるのに
その一方で散り散りに引き裂かれる心。
現実と願望。
それが入り混じって、複雑に絡み合う。
絡み合う蔓には棘があり
それが肉体と精神を強く強く縛り上げる。
噛みしめた唇が切れ
血の味が口の中に広がった。
「苦しいよ、アキ……」
いつまでオレは苦しめばいい?
「会いたいんだ、ただキミに……」
いつまでオレはキミに会えないままなの?



