「あ……あの……」
目の前の『アキ』が戸惑うように目を泳がせた。
その声に触れた指が同じように戸惑うように震えた。
違う!?
アキだ。
目の前にいるのはどうやってもアキなんだ。
でも違う。
声が違う。
アキはもっと高い声。
目の前のアキはオレの知っている『アキ』よりも少し声が低くて……
じっと見つめる彼女の顔にオレははっきり違うものを見てとった。
目元に小さなほくろがあった。
左目の下。
オレの知っている『アキ』にはそれはない。
では誰なのか?
こんなに似ているのに
こんなに似すぎているのに
本当にアキだと思わずにはいられないほど似ているのに
それでも本物ではない彼女は誰だと思うのに。
オレは彼女に何一つ言えずにいた。



