廊下の床にぺたりと座りこんだ一人の女生徒。
心臓が一度その動きを停止した。
息を飲み込んだまま吐き出せなかった。
足のつま先から震えが走り
それは全身へ一気に波となって駆けていく。
長い艶やかな黒髪。
切れ長の黒みの強い瞳。
桃色の唇に白い透き通る肌。
何もかもが一緒で
何一つ間違ったものがない。
これは幻だろうか?
ハラハラと何枚も、何枚も
白い紙が舞い降りて視界を真っ白に染める。
その中で。
その奥で。
オレを見上げる彼女は幻だろうか?
幽霊だろうか?
あり得ない現実。
あり得ない事象。
それなのに心は震え
それなのに心は求め
それだから触れたくなった。
確かめたくなった。
そこにいるのが本物のアキだと――
オレは確かめたくて……



