「じゃ、明日学校でね」
「ああ、学校で」
昔から何度この台詞を吐いたか分からない愛美の家の前で
オレ達は軽く手を上げ別れていく。
昔はここから二人になったのに
今は一人きり。
「学校か……」
シュルリと黒のネクタイを外し
ワイシャツの襟を緩める。
3回忌の法要を済ませたのに
いまだ実感がわかないオレは
本当にただの抜け殻だと
いつもいつも痛いくらいに思い知らされる。
長く伸びる影を踏みつつ
オレは懐かしい実家へと足を向け――
不安の雲を抱きしめたまま
その日は食事もすることもなく
ただ深い眠りに……
夢もないただの闇の中へと
一人落ちて行った。
懐かしいキミの夢に浸ることもなく
ただ闇の中へと……



