★バレンタインの奇跡★



実はあたしさっき気づいたコトがある。

乗り物乗る時に、溝端君が眼鏡を外したその顔が、想像以上に整っていて、キレイだったこと。

そして少し、ほんの少しだけ、雰囲気がショーンに似てたコト…

眼鏡越しじゃ分からない、少し彫りの深い顔立ちに、あたしはドキっとして、くだらない質問をした。

「…溝端君の下の名前って、何?」

一瞬の沈黙。

「翔(かける)だけど。何で?」

彼の大きな黒い瞳が不思議そうにあたしを見た。

あたしってば、ホント夢見すぎだ。

溝端君がショーンだったら…なんて、都合が良すぎる。

よく考えれば名字だって違うのに。ショーンのお父さんはイギリス人だし。

それにショーンは緑色の瞳に、髪の毛だって薄茶色だった。

全然違うのに…


「何となく聞いてみただけ☆あ、もうすぐ出発するぅーっ!」

そう言った瞬間、あたし達の乗ったジェットコースターが勢いよく走り出した。