★バレンタインの奇跡★



「井川君?麻衣嫌がってんだから離しなよ。」

「望月にはかんけーねぇよ!」

別人のように本性表した井川は、由加里を軽く突き飛ばす。

「由加里っ!」

あたしは由加里に駆け寄ろうとしたけど、井川に腕を掴まれて動けなかった。

男の人の力ってこんな強いんだ。

あたしは急に怖くなった。

引っ張られる彼に、どーしようもなかった。

「オレがお前の初めての男になってやるよ」

そう囁かれて、あたしは震えた。

こんな男と軽く友達だったなんて、自分を呪いたい。

そう思った時、背の高い誰かがあたしの前に来たと思ったら、次の瞬間井川の手があたしから離れて、彼が倒れこんだ。

一瞬の出来事に、みんな呆気にとられる。


「…っ痛てっ!何すんだよ、てめぇ!?」