★バレンタインの奇跡★



由加里があたしと井川達を交互に見ながら、不思議そうな顔をする。

あたしは何も聞いてないフリして教室に入った。

「おはよ、由加里。何でもないよ、ちょっとぼーっとしてた!」

「入り口で?」

由加里は何かふに落ちない感じだ。

「星野、おはよ。あのさ…」

井川があたしに話しかけてきて、あたしは吐きそうになる。

「何?あんたと話すことなんて何もないけど。」

あたしの剣幕に、由加里が驚く。

すると井川があたしの腕を掴んだ。

「っちょっ!何!?」

「いいから、ちょっと来いよ。」

「え?何、どーなってんの?」

由加里が戸惑ってる中、あたしは抵抗する。

井川の仲間が面白がって、ヤジを飛ばす。

「ちょ、離してってばっ!」

「うっせ、黙ってちょっと来いよ。」