「麻衣ってば、夢見過ぎ。そろそろ現実見なって。」

今だ彼が忘れられないあたしに、親友の由加里が言う。

「うーん。」

あたしは曖昧に答えると、昼食を食べ始める。

「確かに忘れられない気持ちも分かるし、素敵な話だけどさ。もううちら大学生じゃん?向こうもさすがにあきらめてるって。いいじゃん、井川。結構かっこいいしさ。全然ありだと思うけど?」

「うん。」

由加里の話しに適当に返事を返しながら、あたしは食べ続ける。

恋愛話は苦手だ。

出来るならほっといてほしい。

井川君には申し訳ないけど。

あたしに告白なんてしても、どーしようもないのに。

どこがいいわけ?

ずば抜けて可愛いわけでもなければ、性格だって飛び抜けていい人でも、気が利くわけでもない。

あたしの変わりになる子なんて、探せばいっぱいいると思う。


「ねぇ麻衣ってばっ!聞いてる?もぉ、このままずっと若いわけじゃないんだからね、気がついたらもう30だよ?おばさんだよ!?ひたすら奇跡だけ待ってていいわけ?」


「んー。」