そして生徒会長とのデートが来た。
どんな服を着ていけばいいのか迷ったので雑誌に頼ることにした。
毎月買っている雑誌の「春コーデ特集」をみながらあれこれ悩んだ。

「よっし!!これで行こう!」
私は春っぽいカンジのキャミワンピにカーディガンを羽織っていくことにした。
もちろんレギンスも着用♪

って、好きでもない男とのデートなのに何でこんなに悩んでんだろ・・。
ま、いっか!!

誕生日に貰ったお気に入りのネックレスをつけて、香水は「ロマンティックローズ」を少量吹きかけて、家を出ようとした。

時刻は10時20分
ここから聖修駅までなら歩いていっても11時には間に合うはず!!
そう思い、家の玄関から出て聖修駅まで歩いた。

「あらっ?妃那ちゃんじゃないの~」
近所のオバサンの声がした。
「これからお茶するの♪良かったら一緒にしない?」
いつもなら行くお茶会。でも今日は生徒会長とのデートがある。
「すいません!今日はちょっと予定が・・」
「あら・・そうなの・・。でも、ちょっとだけ、ね?」
そう言ってオバサンは私を家の中に連れ込んだ。

「ゴメンなさいねー。すぐだから」
このオバサンの「すぐ」というのは2時間くらいになる。
どうにかして抜け出さないと・・

そしてオバサンが紅茶とケーキを持ってきてくれた。
どちらもオバサン手作りなので、とっても安全でとってもおいしい。
でも、時計を見ると10時50分。
生徒会長、もう来てるかなぁ?

そんな私の気持ちとはまったく裏腹にオバサンはペチャクチャ喋ってくる。
こんな時に近所の犬の話なんて出来ませんっっ!!
そんな私の表情に気付いたのか、オバサンは、
「急いでるんでしょ?もう、いいわよ」
「え・・いいんですか?」
「あら、まだ話足りなかった?」
「いえ。おいしいお茶ありがとう御座いました!失礼します」
「またいらっしゃいね」
「はい」

そんな会話をして私はオバサンの家を出た。
携帯の時計が示しているのは、11時07分という時間だった。
今いっても絶対間に合わない!!
そう思い、私は走った。