そして私が生徒会室の前に立った。
立派な木で出来た校長室みたいなドアをノックした。

コンコン

「入って」

と、中から聞き覚えのある声がした。
私は指示通り中に入った。
生徒会室の中は、思ったよりも狭くて黒革のソファーが真ん中にある。
あとは、壁サイドに本棚がズラーッっと並んでいるだけ。
狭く見えるのは、本棚が壁にぎっしり置かれているからなのかもしれない。
と、私がキョロキョロしてると、生徒会長が声をかけてきた。

「そんなに気になるか?」
「だって、ここ来たの初めてだもん」
「当たり前だろ?部外者を入れたのは、妃那が初めてだ」
「・・入って良かったワケ?」
「なんのためにHRの時呼び出したと思う?」
「分かんない」
「妃那・・。オマエ、生徒会に入る気ないか?」
「生徒会・・?はっきり言うと興味ないです」
「そこをさぁ・・頼むよ。生徒会、入ってくれない?」
「なんで・・?選挙は秋でしょ?」
「実は、先週引っ越していった書記がいるんだけど・・。ソイツの代わりになってくれないか?」
「なんで・・私なのよ?」
「俺に初対面でそういう態度取った女。妃那が初めてだから」
「それがどうしたのよ?関係あるの?」
「関係大あり。妃那みたいな面白い奴、他に居ねぇから、側に置いておきてぇ。ダメか?」

草野籠牝は、性格とは裏腹な綺麗で美しい目で私を見つめてくる。
そんな目で頼まれると、断れなくなるじゃないかぁぁぁ!!
生徒会長のバカァ!!

「・・いいよ。やっても」
「まじ!?よっしゃ★」
「生徒会って、人数どれくらい居るの?」
「んっとなぁ・・。俺と、妃那と2年の書記の響灘龍司と副会長のナントカ優子だけ」
「ふーん・・。じゃ、これからよろしくお願いします」
「なんか棒読みっぽいな」
「うるさいな!!じゃ!失礼しました!!」
「待てよ!明日空いてる?」
「明日?空いてるけど?」
「じゃ、今日言ったデートしようぜ!明日、11時に聖修駅の西改札集合な!」
「な・・!絶対行かないんだからね!」
「じゃ、妃那が来るまで待ってるから」
「なっっ!!勝手にしてよ!!」
そう言って生徒会室から出た。
あんな奴とデートなんてするもんですか!