「ボーッとしてると遅れるぞっ」


“コツンッ…”


頭に小さい衝撃が加わった。

振り向くと、ニコッと笑う宮川 春希(ミヤガワ ハルキ)が目に入った。

純度100%とでも言うべきな、真っ黒の髪の毛。
笑うとえくぼができ、この顔で何人の女子を虜にしたのだろうか…。


「痛いし…馬鹿」


1人で居ると、時折昔の事を思い出してしまうから嫌だ。

でも、春希と居るとそういう気分も吹き飛んでしまうから不思議だ。


春希とは、高等部に上がった時のクラスで一緒になってからずっと一緒だ。
うちの学校は、中等部・高等部は最初の1年でしかクラス替えはない。


だから、必然的に春希と離れる事はもうない。


「あーもうっ、朝からこんなとこでイチャこかないのっ!!」


「「はっ…??」」


私と春希が同時に振り返った。