不器用に、キミと。



今までの合コンでは、上手いこと王様ゲームをやらずにすんでいた。


カラオケのような密室じゃないということもあり、“印象ゲーム”というものをやったりしたくらいだ。


印象ゲームとは、[父、兄、恋人、結婚相手、一夜限りの相手]などを当てはめるもので、なんだかそれだけで盛り上がった。


合コンで彼氏をつくったこともなかったし、つくろうとも思わなかった。


比奈子に「面白いよ」と言われて行ったのが始まりで、楽しいとも思わなかったし決して乗り気だったわけじゃないのに「こんなこと頼めるの、まことしかいないの」と人数合わせでいつも比奈子に付き合って行ってた。


あるとき、一度だけ王様ゲームをやる機会があった。


だけど、なぜかファミレスの店員に邪魔されてできなかった。


あの時のことを、なぜか鮮明に思い出せる。


好印象だったかというと、もちろんそうではなかった。


でも、あのときあの店員がいなかったら嫌々王様ゲームをやっていたかもしれない。


王様ゲーム、ルールを聞いただけで鳥肌が立った。


比奈子にがっちりと捕まれていて、その場をなかなか逃げられなかったんだ。


こんなゲームやりたくない!

そう思った私に、比奈子は

『大丈夫。すっごく楽しいから!』


っと言ったけど、ものすごく逃げ出したくなった。


男たちのニヤニヤしたあの顔。



あー。今私の隣にいるこの男と同じような表情(かお)してたなぁ…。



そう思うと、余計乗り気じゃない私。



「どうしたの?テンション上げてこーぜー!」



馴れ馴れしく肩を抱いてくる男にカチンときたけれど、周りが割り箸を用意し始めたので、私もそれを真似た。



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