「んじゃ、自己紹介すっぞー!!!」
先ほどのインテリ眼鏡が言うと、みんなそれぞれ自己紹介を始めた。
あれこれ盛り上がっていれみたいだけれど、正直そのテンションについていけない。
以前、何回か比奈子と行ったけれど、それはファミレスで男女六人ほどで談笑してた程度。
カラオケルームのような密室での合コンの誘いは断っていたから、初めてのこの状況に固まっていた。
自分でいっぱいいっぱいで、周りの自己紹介も右から左へ流れていったという感じだ。
それに、自分がなんて自己紹介したかも覚えていない。
この雰囲気に戸惑っていた私に、隣の男子が急に話しかけてきた。
「ね、まことチャンって可愛いよね。」
「あー…はは。」
「肌白いし…黒髪ってなんか萌える。」
「も、萌…?」
馴れ馴れしく髪を触られ、少しずつ怒りがこみ上げてくる。
毛先が少し癖のついた髪は、あまり気に入ったものじゃないのに、男子はやたら誉めてくる。
「目デカいし…黒猫みたいだよね。」
「く…っ黒猫?!」
人を動物に例えるコイツって、なんかおかしくないか?!
身の危険を感じて、トイレにでも行ったふりして帰ろうかと思ったとき、インテリ眼鏡が「王様ゲーィム!」という一言で、それは実行不可となった。
仕方ないか…
と、そう一度浮かせた腰を下ろした私は、このあとの悲劇をまだ知らない。
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