不器用に、キミと。



そんな千春の姿にびっくりしていると、「みんな待ってるよ」と言って腕を引かれた。


そんな彼女の言葉に「は?!」と顔を歪める私に気づいていないのか、彼女は鼻歌混じりでカラオケルームの中へと入って行った。


もちろん、私も腕を引っ張られたまま。



「お!来た来た来たー!」



ドアを開けた途端、聞こえたのは黒縁めがねの男。


いきなりの登場にびっくりして見てみると、その人は知らない人。



つい、ジロジロと見てしまった。



彼は、短髪で、一見インテリ系に見えるけれど、口を開くとギャップが生じる…と、そんな感じだ。


でも、そんな彼を認識すると、次は部屋全体を見渡した。



すると、見慣れたギャルメイクの女の子がいた。



「おっそいよチー!まこと!」



千春を“チー”と呼ぶ彼女は、今年仲良くなった蘭子。



なんでここに蘭子がいるんだ?



と、ますます頭の中にハテナマークが浮かぶ。



更に、周りを見渡せば、私と千春も含めて男女四人ずつ座っていた。




「ちちち千春!ど、どういうこと?!」


こっそり耳打ちすると、千春はニコッと笑って「合コン、だよ!」言った。


絶対ありえないって思ってた。


千春はそういうタイプじゃないって思ってたのにー!!!


あんぐりと口を開けて、心の中で雄叫びをあげていると、千春はさっさと空いている席へと座った。


そしてこちらを向くと、たったままの私を不思議そうに見てから



「まことちゃん、自己紹介始めるから座って。」

と言ったものだから、みんなも私を見て「座りなよ」と言うもんだから、正直困った。



もう一度周りを見渡すと、男女交互に座っている。


みんなの視線が痛い。


奥には見知らぬ男子、手前には蘭子が座っている。


そうなると、私は必然的に一番奥の席へ行かなければならない。


奥の方の席を見ていると、そこに座っている男子と目が合いニコッと微笑まれると、小さく手招きされた。



私は、少し戸惑いながらもその席に腰を下ろした。


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