「ま、まことちゃん…。大丈夫?」
高校に入ってから仲良くなった千春が、心配そうに私の顔を覗き込む。
可愛らしいおちょぼ口をぷるぷると震わせ、なぜか泣きそうな顔をしている。
理由はきっと、私の瞳から涙が零れ落ちているからだろう。
バカな私。
浮気されていることに気づかず、今日キョウジが16を迎える誕生日のためのプレゼントを買っていたのだから。
くしゃっとそのプレゼントを握りしめると、余計に涙が溢れてきた。
悔しくて。切なくて。
泣きたいわけじゃないのに、私の頬を伝う温かい雫はたしかに涙だった。
「わ、忘れなよ!あ、あんな人たちのことなんて!」
涙が止まらない私に、千春は必死になって元気づけようとしてくれる。
だけど、かわいくない私は「当たり前だっつの!」と言って涙を拭った。
なんだか強気な彼女。
まっすぐと凛としたその瞳に「本当に千春?」と疑ってしまう。
今までこんなに彼女が頼れる存在だったことがあっただろうか。
強がって意地張って、「私は平気!」なんて態度をとっていたけれど、私のために動いてくれている千春に甘えて泣きついた。
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