不器用に、キミと。




グロスがぷるんとした唇を作り、普段の二倍は盛られたマスカラ。


アイプチによってパッチリとした二重が作り出されている。


合コンに行くときよりも気合いの入ったメイクに呆れて笑えてくる。



「これから二人でどこ行くの?」



いつもの倍、優しい口調で言ってみたけれど、内心いつこの拳を振り上げようかと考えていた。



「まさか、二人とも私を騙してデート…ってわけじゃないよね?」


「きッ、聞いて!まこと!」


「比奈子ちゃん、キョウジくん。これから私たち、赤の他人ってことで。」


気が収まらない私は、二人に一回ずつビンタをお見舞いすると、隣であわあわとしている千春の腕を引いてその場を去った。



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