不器用に、キミと。




気だるくなるような暑さに、正直しんどさを感じていた。


授業中はぼーっとしていた。


何もしなくても時間はただ流れるだけ。


目を閉じれば、いつだって思い浮かぶのはキョウジのはにかむ姿。


俺様でドSで強引。
だけど、それでも好きだったんだ。


優しかったあの頃。

初めて話したときは、少し口が悪かったのと、あの独自の香水の匂い。


印象的だった。
まったく好みの香りじゃなかったのに、強引で明るい性格に惹かれて、いつしかその香りが心地よかった。



いまでもその香りは私から離れない。


付き合ってた時間は決して長くはなかったけど、キョウジの存在は私にとって大きかった。


毎日飽きずにしていたメール。

電話越しから聞こえる甘い言葉に、いつもドキドキしてたのが、今では懐かしく、そして私の胸を熱く締め付ける。



そんな簡単に忘れられるわけなんてないんだ…。





「…ちゃんっ…まことちゃん!」


「わっ!」


「授業終わったよ?どうしたの?ぼーっとしちゃって」



小春の言葉に、ようやく授業が終わって放課後になっていたことに気がつく。


目の前には、この前キョウジに別れを告げて泣いた私を見ていた時と同じような顔をする小春がいた。



心配そうにゆがめられた顔を見たら、正直に言えなかった。


「なんでもない。ただ暑くてさ頭がぼーっとさただけだよ。」



まだ、私の頭の中はキョウジでいっぱいだったなんて。



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