不器用に、キミと。



先ほど感じた不思議な魅力。

透明感のある雰囲気。

艶のある声。



今となって見てみると、まったく違って見える。

口調が。

仕草が。



どことなく、似ている…



「って、は?!泣いて…ッ?!」


「み、見ないでよ変態っ!」



ボーっと奴を見ていて、自分が他人に泣き顔を曝していたということを忘れていた。



不覚にもときめき、そして唇を奪われた相手。


よく見れば、自分より少し幼いその容姿。


私の顔を覗きこむように見つめるその瞳は、どこか幼さが残る。




「…もしかして、初めて?」


「う、うるさい!猿!」


図星を言われて咄嗟に出た言葉だった。


とにかく、目の前のこの男が憎い。



「さ、猿?!ふざけんなブス!」


「ブ…っ?!最っ低!もう来ないでよ!」



屈辱的な暴言に思わず顔を上げる。


その瞬間、唇が重なり声にならない。


"騙された"


そう思ったときには、悪戯に笑う奴の顔。


不覚にも、その笑顔が胸に焼き付いて離れない。


_