不器用に、キミと。




「よし!よし!次行くぞー!!!」



更にテンションアップの眼鏡。


再び割り箸を回収し、くじを引いて王様が命令を出す。


だけど、なにが楽しくてしてるだと思えるような内容のものばかり。



ほっぺにチュウだとか、10秒間抱き合うだとか。


見るだけでも、なんだか私には刺激が強すぎるものばかりだ。



まだ、自分は当たっていないからいいが、“次当たったらどうしよう”とくじを引くたびビクビクしていた。



「キャー!あったしー!王様ー!」


今回は蘭子が王様。


命令はあらかじめ決めていたのか、千春とは違って蘭子はサラリと命令を放つ。



「7番の人が自分の頼んだ飲み物を、2番の人にを口移しー!」


「またまたデッカイのキター!!」



盛り上がる周りに反比例して、私はひとり拳を握る。


なぜなら、私の手元にある割り箸には2番と書かれていたからだ。



蘭子の命令を聞いた瞬間、くらりと目眩がしたくらいだ。



うひーん!と心の中で泣いている私をよそに、7番の人が手を挙げる。



「あ、俺だ…」



少し低めの艶やかな声。

そんな声に顔を上げて見てみれば、彼の顔が鮮明に映る。



白く綺麗な肌に、二重の切れ長な目。


真っ黒な瞳は大きくて、とても綺麗。



そんな瞳は私を映し出し捕らえる。



「やー!聖地くん?!」



彼の隣にいた女の子が、猫なで声で嘆く。



セイジと呼ばれた彼は、「2番、誰?」と言った。



「私…。」



呟くような声。


そんな彼の言葉に、魔法にかかったように手を挙げる私はどうにかしてしまったのだろうか。




_