エイジュは、片手を水平に上げていた。

銃口を英樹に向けた銃が、その手の中にある。

滑らかで冷酷な動作で、安全装置が外される。

冷酷で正確な操作だ。

エイジュの目には、その動作の先に、人を殺す行為があることを微塵も感じさせない。

「待てっ、エイジュ!」

英樹が叫ぶのを合図にするように、エイジュは引き金をひいた。
 
かすかな音が弾き出される。
 
浩之は脳に命令を下されるより先に、英樹に飛びついた。
 
エイジュは目を見開いてそれを見た。
 
血が、パッと飛び散った。