やはり英樹は、答えた浩之を、露骨な表情で嘲笑した。

「何も分からないなら教えてやろう。

彼女は、暗殺用にオレが造った、アンドロイドなんだ」

浩之は、なるべく反応しないように、感情が表に出ないように、自分をコントロールした。

オレの、得意技じゃん。
 
英樹に、動揺を読まれてたまるか。
 
だけど英樹は、その浩之の表情に一瞬走った微妙な変化を見逃さなかった。

ほとんど変化が無かった浩之の表情にすら、英樹は満足そうに笑みを浮べた。

「ついでに教えといてやると、エイジュの知能回路には、オレに一目惚れするプログラムが仕込んであるんだ。

いつ、組織がエイジュを使ってこのオレを殺そうとするか分からないからな。

そのときのための保険のつもりだったんだが」