「兄貴じゃん!生きてたんだ」

浩之は、この間に存在するハズの、長い年月を、何の感情もこもらない軽い声で、あっさりと飛び越えた。

そうして、間近の英樹に微笑んだ。

「相変わらず、脳ミソの軽そうなままだな」

英樹は言うと、浩之を放した。

「言っとくけど、オレは普通だよ」

『兄貴の方が異常なんだ』
 
その言葉は飲み込む。
 
高めのIQは、狂気と紙一重であることがある。

それを、英樹は証明していた。
 
それでも以前は、母親や他人の前では上手く、それを隠そうとしていた。
 
今はどうなんだろう?