浩之が止めたせいで、彼は生き延びたのだ。

そして、運が悪いと、痛みに苦しんだ挙句に他の人間の手によって命を絶たれるのだ。

浩之は、軽く深呼吸をすると、目を開けてエイジュを見た。

気のせいか、疲れきって見えたさっきとは、全然違って見えた。

まるでこの数分で、数時間分の睡眠を手にしたみたいに、いきいきしている。

「そっちの用は終わったの?」

「ええ」

「じゃ、逃げるか」
 
浩之は、まだ痛む体に鞭打って立ち上がった。

軽やかに身を翻したエイジュの動きを見て、急に自分の中の疲れを意識してしまった。

それは、意識すると急激に襲ってきて、痛みと同化し、体をいっそう重くした。

出来れば、しばらく休みたかった。