杉の木林の向こう側に、朽ちた、としか言いようがないほどの、古びた家が見えてきた。
 
家を囲むように生えている杉の木は、成長の途中から、枝を落とす手入れをやめられてしまっている。

今更切り落としても、しっかりと、枝の跡に節だか年輪だかが刻まれてしまっていて、使い物にならないか、少なくとも、高くは売れないだろう。

勿体無い。

家の方は、もっと酷いことになってそうだ。

おそらく、もう人なんて寄り付かないんだろう。

「もしかして、ここに隠れるつもり?」
 
エイジュは、家の前の開けた場所に、先に辿り着いて立ち止まった。