まるで、初めて口にする言葉のように、不器用に言って、微笑んだ。

赤い髪が数束、艶っぽくエイジュの輪郭をなぞっている。

浩之は、エイジュに惹かれている自分に気付いて、その、意志に逆らうように、エイジュから目を逸らせた。

エイジュのことをどう感じ始めているかを、英樹に知られたら、ぶち壊されてしまうような気がした。
 
英樹がいつも、やってきたように。

あいつは、いつもオレの大事なものを、ことごとく壊してくれたから。
 
その不快な感覚に、束の間とはいえしっかり取付かれてから、浩之はハッとした。
 
バカらしい。