逃げようかな?

大した根拠はないが、そう思い、浩之は身を翻して、走り出そうとした。

が、次の瞬間には、走り出そうとする力を阻まれてしまった。

見ると、両手をさっきのオヤジ二人ががっしりと掴んでいた。
 
実を言うと、電車で男の痴漢にあったり、街でおっさんに声を掛けられたりという不快な体験は、浩之にとっては日常茶飯事のことだった。

でも、さすがに、これはなんか違う。

こいつら一体何者なんだ!? 

身動きも出来ず、答えを見つけられもしないうちに、浩之の腹部に激痛が走った。

激痛は、痛みを感じさせる暇もなく、浩之の意識を奪った。