心地良く暖房が効いたハズの店内よりも、外は爽やかだった。
 
チラリと振り返ると、喫茶店のガラスの壁の向こうで、彼女はまだ呆然と座ったままだった。
 
これで、もう彼女と関わらなくてすめばいい。

彼女は十年も、英樹の行方を聞き出そうとして、浩之の目の前をチョロチョロしていたのだ。

今まで、彼女からのらりくらりと逃げ回るだけだったオレが、急に、こんなこと言うなんておかしいと思うかも知れない。
だけど、銃を扱う輩のいる世界へ行ってしまったヤツのことは、もう忘れさせたほうがいいから。

出来れば、もっと早く、英樹を忘れさせるように仕向けてあげるべきだったけど。