浩之はゆっくりと、二杯のストレートティーを飲み干した。

紅茶の流れた食道が、直後にはもう、水分を渇望している。

紅茶って、飲めば飲むほど、喉が渇く。

そうやって、彼女に、喋るための時間を与えたつもりだったのに、彼女はいっこうに喋ろうとしなかった。
 
浩之は、最後の紅茶をカップに注いだ。
 
それから、シュガーポットを引き寄せる。
 
その動きが気になったらしく、浩之の方を見た彼女の視線の先で、浩之は、山盛りのシュガーを入れた。
 
二杯目の、山盛りシュガーをカップに入れると、彼女は浩之の顔を、心配そうに見た。
 
三杯目になると、彼女は、笑い出した。
 
彼女の気をひくための冗談だと、やっと気付いたらしい。