次の刹那、銃身は火を、小気味の良い音を吐き出した。
 
何が起こったのか分からない。

そういう表情の英樹は、目と口を大きく開いて浩之を見ていた。
 
そして、そのまま後ろ向きに弾き飛ばされて倒れた。

「オレはね、両利きなんだよお兄ちゃん。何でか知ってる?」

あんたに右手を折られた後、しばらく、オレは左手で生活してたんだ。
 
浩之は黙ると、時計に目を落とした。
 
時間が迫っていた。