それなのに、背を向けるエイジュを止めることが出来ない。
 
止めて、どうなるんだ?
 
ネックレスを、自分の首にかける。
 
ハッとして時計を見る。
 
0時まで後十三分。
 
多分、0時が、その時なんだろう。
 
浩之は外へ出られる道を、記憶と勘を辿って歩き出した。
 
いくつもの、同じ様に見える白い廊下を曲がり、玄関ホールに辿り着く。
 
と、誰かに呼び止められた。

「浩之」
 
その声は、間違いようがなく、英樹のものだった。
 
浩之は振り返った。
 
それより早く、英樹はそばにいて、浩之の鼻先にナイフを突きつけていた。