浩之は、黙ってエイジュを見た。修理って言葉が突き刺さっている。

「浩之といると、あたしは人間になったみたいに錯覚する」
 
浩之は、目を伏せて、綺麗に結び目を作った。

「はい。おわり」

目を上げると、ずっとこっちを見ていたエイジュは、浩之から目をそらせた。

少しの間、躊躇うようにそこにいた後、エイジュは、真っ直ぐにデスクのパソコンに向かって行った。

ポケットからUSBメモリをだして、そこに滑り込ませると、パスワードを打ち込む。

そして、急に立ち上がると、壁に向かっていき、一面を覆うブラインドをひらけた。

向こう側に、天井も床も壁も真っ黒に塗られた部屋があるのが見えた。

光源は無く、ただ、並べられた円柱形の水槽のようなものが見えた。