浩之の中で、何かがぱりんと音を立てて壊れた。
 
組織の人間といえど、人だ。

その人達を爆弾で吹き飛ばすことに抵抗が無い訳じゃなかった。
 
そういう、普通の人間としてのこだわりが、今、壊れたのだ。
 
浩之は、自分自身の、剥き出しの敵意を味わいながら、この階へ降りてきた、通風孔の体をしている穴の下へ戻った。
 
エイジュは、天井の穴に向かって飛び上がり、自分の体を、やすやすと引き上げた。

「待ってて、バクダンをし掛けて来るから」
 
軽く言うと、エイジュはそこから消えた。もしかしたら、もう、戻ってこないんじゃ
ないだろうか。

チラッとそんなことを考え始めたときエイジュは戻って来て、浩之の目の前に飛び降
りた。

「ここは崩れるから危ないわよ」

言いながら、片手に銃を構えて、先を歩き出した。