浩之が覗くと、下には廊下があった。

窓に面したその廊下は、月明かりに照らされて白く、ボンヤリそこにある。

下までは、かなりある。

エイジュは軽々と飛び降りて、こちらを見上げているけど。

怪我しなきゃ上出来だな。

思いながら浩之は、穴の縁に手を掛けて、ゆっくりと体を下に下ろした。

天井にぶら下がる形で廊下に現われて、それから浩之は手を離す。

つやつやの廊下で足を滑らせて、バランスを取りそこない、転んで膝を打った。

エイジュが後ろを振り返るのが分かって、浩之も目を上げた。

誰もいなかったハズの廊下に、フラリと、誰かが現われた。

 
彼は手に、山ほどの本とシルバーのケースを抱え、そこのドアから出てきたところだっ
た。