一つ間違えると、血の海を作ってしまいそうなものなのに。

エイジュは、一瞬にして、そういう部分を外し、しかも、致命的な場所に狙いを定められるんだろう。

「行くわよ」
 
浩之はエイジュを見た。

「武器庫に?」
 
エイジュは肯くと、デスクの向こう側の床にしゃがみこんだ。
 
そして、外に面した壁に指を這わせると、大きな碁盤の目の壁紙から、模様を一つはぎ取った。
 
そこには、コンクリートが口を開けた空間があった。
 
五十センチほどの奥行きのその空間は、床の下に向かって伸びている。

「もう、司令部の誰かがここへ向かっているかも知れないから、エレベーターは使えないの」

「でも、鍵を壊しちゃったんじゃないの?あれじゃ、誰も中に」