少々面倒くさくてもスーパーで材料を買って来て、出来立ての暖かい晩飯を食べるか。

コンビニの弁当を買って来て、エセ暖かご飯にありつくか。

一見、どうでもいいようなことに思えるのだが、どうでもいいだけに、これといった決め手が無くて、浩之にはなかなか決められないことなのだ。

かなり真剣に考えるあまり、目の前で何かが動くまで、その気配に気付かなかった。

思わず悩むのを休止して、足を止めた。

何かいる。

誰か、か?
 
闇の一層深くなっている部分に目を凝らして、その瞬間、ふいに強い力に捕まって、道の横にあったハイツの壁に押し付けられた。

不意のことだったので抵抗する間もなく、浩之は頭を強く打った。