その、研究所の、今度は正面玄関の前に立つ。

大きな製薬会社だと、その建物も立派だが、回りを覆う敷地には手入れされた緑が植わっていたりして、中小企業に勤める者に溜め息をつかせる。

ここも、研究所としての機能だけしか持たせてない場所だったが、持ち主が大きな企業だと一目で分かるものだった。

暗闇に白く浮かび上がる建物に、緑も豊富にきちっとした印象に植えられてある。

所々に明かりが付いてい、ホールにも眩しくない程度に明かりがついている。

「この中の連中が、自分達の命を狙っているのかと思うと、何だか現実味が失せていくな」

言うと、エイジュは笑った。

浩之の構え方に、悲壮感が無いので、安心したのかも知れない。

「じゃ、行くわよ」

エイジュについて、浩之は歩き出した。