感情が無いに等しい英樹が、その方法を選んだことが皮肉だけど。

「本当は、自分でも、これが邪魔だって気付かなかったの。気付いたのは、浩之に“殺すな”って言われた瞬間だったから。“人を殺す”ためだけに存在しているあたしが、それにためらいを感じるようになってしまった。これって、“感情”が邪魔しているせいでしょ?」
 
浩之は、少し苦しそうなエイジュの笑いを、黙って見ていた。
 
英樹の与えた感情に、浩之が訴えかけて、そのせいで、エイジュが苦しんでいる。
 
英樹と一緒になって、エイジュを苦しめていたのか、オレは。

物凄い嫌悪感に襲われる。

「次のアンドロイドが造られる時には、もうこんな邪魔なものは埋め込まれないハズよ。あたしのように、暴走したら困るから」