その中に、知らない人間が立っている。
 
彼は浩之を見ると、真っ直ぐに銃口を向けてきた。

「時田浩之か?エイジュはどこだ?」

自分は時田浩之じゃない。

そう言っても、撃たれるんだろうな。

そう思うと、浩之の体から、生き延びるために必要なハズの気力が、吐息と共に抜けて行った。

もう、オワリらしい。

こちらに銃口を向けている、浩之より頭一つ分大きな、ガタイのいい男を、浩之はゆっくりと眺めた。

彼の後ろの出入り口が全開していて、そのせいで、月明かりが直接入り込んでいる。