通り過ぎながら、そっちを見ると、木からキノコが顔を出しているのが見えた。

キノコが、日常を象徴するように、まったりとそこにある。
 
浩之の顔に苦笑が走った。
 
生き延びられたら、いいな。
 
道と反対側の斜面につくと、エイジュが追いついてきた。
 
追っかけるように弾があちこちにめり込む音がした。

明日の朝、ここの農家の人が来て銃跡を見付けたら、びっくりするだろうな。

「浩之、さっき行った廃屋分かる?あそこで待っててくれない?ゼロツーを始末したらあたしも行くから」

エイジュは言って、浩之が肯くのを見ると戻って行った。