エイジュは、アンドロイドなんだ。

プログラムのままに、仲間を手当てして、浩之を見ている。
 
浩之は、目を閉じて、風景を追い出した。
 
冷たい風が肌を撫でる。
 
体中から、疲れが滲み出る。
 
ふと、暖かい感触が頬に触れてきて目を開けた。
 
浩之の行動を不思議そうに見ているエイジュがいる。
 
反応させようと、恐々触れてみたのらしい。
 
浩之は、笑ってしまった。
 
そのとき、浩之の中で、世界中に張り巡らされていたガラスが、砕けて溶けた。
 
一瞬にして、感情に直通の自分の目が、直接風景を見、エイジュを見ている瞬間へ放り出された。