英樹が浩之の重みになぎ倒され、肩先を弾にかすめられた浩之が、上になって倒れた。
 
浩之は、右半身が吹き飛ばされたような衝撃と痛みにうめいた。
 
英樹が乱暴にその体を押しのけた。
 
その動きで、痛みが煽られる。
 
浩之は、されるまま、アスファルトの上に転がって、そのショックから来る痛みに息を止めた。
 
治まるどころか湧き上がってくる痛みに、仰け反りながら目を開けると、英樹が暗闇の中へ走り去るのが見えた。
 
自分を庇った浩之を、振り返る素振りすらなく、真っ直ぐに逃げて行く。